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廃炉費用の扱いで帰趨が決定=東京電力の実質国有化問題


廃炉費用の扱いで帰趨が決定=東京電力の実質国有化問題
【第555回】 2011年12月20日 週刊ダイヤモンド編集部

12月9日に発表した「改革推進のアクションプラン」では、東電は屈辱的な“自前主義”の放棄を強いられた
「これからは東京電力の廃炉費用の扱いが大きな焦点になる」と、ある政府関係者は語る。

 事故のあった東京電力の福島第1原子力発電所の原子炉は、2011年内に冷温停止を達成する計画。これに伴い、今後数年間の廃炉作業の工程表が発表される。
 工程表が出れば、廃炉費用の算出が可能。廃炉にかかる費用は、政府の「東京電力に関する経営・財務調査委員会」の報告書によると、福島第1の1~4号機分で、1兆1510億円と見積もっている。その作業状況や、まだ廃炉と決めていない5~6号機も含めれば、数兆円以上にふくらむという見方がある。
 問題は廃炉費用を計上するタイミングと、一度に計上する金額だ。現在、東電は原子力損害賠償支援機構を通じ、負債とはならない「特別利益」という格好で、政府の資金援助を受けている。
 ただし、その対象はあくまでも損害賠償に関する資金だ。つまり、廃炉の費用は対象外。巨額の廃炉費用が発生した途端に、債務超過に陥ってしまう可能性があるのだ。
 政府から見れば、被害者への賠償問題を抱える東電はつぶせない。債務超過となれば、公的資本の注入で実質国有化されることは明らかだ。
 この資本注入について、西澤俊夫社長は「打てそうな、いろんな手の中で、いちばんよい手を考えたい」と否定はしていない。
 だが、本音をいえば、東電の経営トップらは、資本注入を極力、避けたいという気持ちが強い。
 理由は明白。世論を受けた政治主導の下、民間企業としての経営の自主性が損なわれるだけでなく、やがては発送電分離など、電力業界を根底から揺るがす事態を警戒しているからだ。
 事実、12月9日に発表した「改革推進のアクションプラン」では、今後の発電設備の投資計画抑制と既存火力発電設備の売却検討という、東電にとっては屈辱的な“自前主義”の放棄を強いられた。
 また、政府内では、単なる資本注入にとどまらず、長期的視点として原発の国有化や発送電分離などの議論が出ていることも、東電にとって大きな懸念事項だ。
 とはいえ、廃炉費用については、「経営陣と一部の中堅社員らとのあいだで、認識の違いが生じている」(関係者)との指摘がある。
 たとえば、「経営陣は先送りしてタイミングを見計らっているようだが、再度の地震や放射能漏れなどのリスクを考えたら、廃炉の処理は早くしたほうがよい」との声が東電社内にもあるのだ。
 12年3月に東電と機構がまとめる「総合特別事業計画」には、廃炉費用などについて、ある程度の判断が盛り込まれる模様だ。
 はたして、どのような決断を経営陣は下すのか。少なくとも、先送りは許されないだろう。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本猛嗣)

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