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原発シナリオ 「最悪」封印は許し難い=信濃毎日社説

原発シナリオ 「最悪」封印は許し難い
01月24日(火)
 東京電力福島第1原発の事故について専門家が「最悪シナリオ」を作成していた。

 だが、当時の菅直人首相ら政権幹部は「なかったこと」として封印し、昨年末まで公文書として扱っていなかった。国民の不信を高める行為であり、とうてい容認できない。

 最悪シナリオを記した文書は、3月25日付だった。放射線量が上昇して作業員全員が撤退したと想定。注水冷却ができなくなった2号機、3号機の原子炉や1~4号機の燃料プールから放射性物質が大量放出される。

 この結果、強制移転区域は半径170キロ以上、希望者の移転を認める区域は東京都を含む半径250キロに及ぶ可能性を挙げた。

 衝撃的な内容だけに、厳重管理された。専門家の「個人的ペーパー」と位置付けられ、公文書としては扱われなかった。

 その後、シナリオの存在が露見し、政府は内閣府文書として扱うことを決め、開示請求したマスコミ各社に公開された。

 政府は公表を控えた理由として、最悪のシナリオ通りになっても、十分に避難する時間があり、必要のない心配を与えないためと説明している。

 納得し難い。公表の方法は検討するにしても、公文書として記録しなければ、次代への教訓を残すことができない。今後の検証を阻むことにもなる。

 事故発生後、米、英などは日本在住の自国民に避難勧告をした。日本の避難範囲よりぐっと広い範囲が対象だった。事態をより厳しくとらえていた。

 最悪のシナリオ通りにはならなかったが、なぜ文書を封印したのか徹底して検証すべきだ。

 政府の事故調査・検証委員会が昨年12月に公表した中間報告では、この文書については触れていない。最終報告に向けて、菅前首相はじめ関係者にしっかり問いただしてほしい。

 原発事故の主要な情報は、政府や東電が握っている。的確に公開をせず、迅速な対応を怠れば、多くの問題が起きる。

 実際に、緊急時迅速放射能影響予測ネットワーク(SPEEDI)の試算結果公表が遅れ、住民の避難に生かせなかった。だが国内公表前に米国には伝えていたことも分かってきた。

 民主党は政策決定の透明性や情報公開の促進を訴えて政権を得たはずだ。野田佳彦現政権は問題点を積極的に洗い直し、信頼の構築に努めるべきである。
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