05 15

東京もチェルノブイリ第三区分入りが濃厚に

文科省ようやくWSPEEDI予測値(広域汚染状況)の一部を公表:東京もチェルノブイリ第三区分入りが濃厚に
■ WSPEEDI情報の一部がようやく公開された・・・

文部科学省が5月10日、隠し続けてきたWSPEEDI情報の一部をついに公開した。WSPEEDI(第二世代SPEEDI)とは数千km圏内をカバーする広域SPEEDIのことで、日本全域が範囲内のはずだが、今回公表されたのは静岡・長野の一部から岩手・秋田の一部まで、しかも3月25日まで、ヨウ素131のみ、というごく限られたデータである。予測値ではあっても、4月に気象庁が公表した飛散濃度予測マップよりもかなり細かい放射性物質汚染分布が分かるので、人々の安全にとって最重要情報の一つであるはずだ。事故発生から約2ヶ月経ってのこの公開はあまりにも遅すぎると言わざるをえない。情報隠蔽を決定した者たちの罪が法廷で問われるべきであるが、その怒りはここではいったん抑えて、今回公開されたWSPEEDIのヨウ素131の地表堆積量(沈着積算量)の濃度区分から読み解ける新たな情報を見ていきたい。

20110513023439cc0.jpg

http://onihutari.blog60.fc2.com/blog-entry-33.html
資料出所:文科省のリンク元ページ(3月25日のところ)、PDF文書「福島第1原子力発電所(特定条件WSPEEDI)[3月25日]」(3ページ目が地表堆積量)

■ ヨウ素131汚染区分(3月25日時点の地表堆積量)
※画像をクリックすると拡大されます

超高濃度汚染地区(黄色):1,000,000-10,000,000Bq/m2
福島県東部(避難エリア)だけでなく郡山市北部から福島市中心地を経て宮城県白石市南部あたりまで、そしていわき市より南の茨城県北茨城市・日立市あたりまでのエリア。ちなみに同じ資料の2ページ目を見ると、福島県本宮市や茨城県高萩市あたりまでヨウ素131による幼児甲状腺等価線量が50-100ミリシーベルトという凄まじいレベルの汚染エリア(オレンジ色)、福島県福島市や宮城・茨城・千葉の一部に20ミリシーベルト以上の超高濃度汚染エリア(黄色)が広がっていることが分かる。

高濃度汚染地区(緑色):100,000-1,000,000Bq/m2
福島県中部の大部分、宮城県の約8割、山形県の南東部、茨城県のほぼ全域、栃木県の約5割、千葉県の北部・東部と南端部、埼玉県の約4割、群馬県の約2割、東京都の奥多摩を除く大部分、神奈川県の約5割(横浜市の一部含む)、静岡県伊豆半島(熱海市から伊東市にかけて)などのエリア。

中濃度汚染地区(水色):10,000-100,000Bq/m2
上記以外の東北・関東・静岡・山梨のほぼすべて、秋田県南東部、新潟県の約5割(南側)・長野県北東部などのエリア(※福島県西部は東京都心より濃度低い)。

低濃度汚染地区(濃い水色):1,000-10,000Bq/m2
東海地方の一部、日本海側の北陸・東北地方の一部。

※超高濃度・高濃度・中濃度・低濃度という言葉は当ブログ独自もので、あくまでWSPEEDIの濃度区分に便宜上当てはめただけです。画像にある通り「実際の放射線量」ではなくあくまで予報データではありますが、各地の相対的なヨウ素131堆積濃度に関しては今のところ一番信頼できる情報だと思います(都道府県別降下量実測データは3月18日以前の一番肝心な部分が抜けている点が致命的)。ちなみにヨウ素131は放射線を出し終わるとキセノン131という放射性物質に変化します。

■ セシウム137の地表堆積量を推定してみる

当ブログでは文科省が公表してきたヨウ素131・セシウム137の地表降下量(3月19日以降、福島・宮城はデータ欠損)を集計してきたが、3月25日までの降下量累積でヨウ素131のセシウム137に対する倍率を求めると、静岡3.3倍、茨城8.1倍、東京13.2倍、千葉40倍など地域によってかなりばらつきがある(福島県についてはデータの得られる3月28日以降の1週間の合計値で比較すると約20倍)。この比率をWSPEEDIデータに適用して、3月25日時点でのセシウム137堆積量を推定すると、以下のようになる。

<セシウム137>
千葉県千葉市:250-2,500Bq/m2(実測値では53,000Bq/m2)
東京(奥多摩以外の大部分):7,700-77,000Bq/m2
静岡県の一部(熱海・伊東など):30,000-300,000Bq/m2
茨城県(北茨城・日立除く):12,500-125,000Bq/m2
福島県福島市中心地:50,000-500,000Bq/m2

ただし千葉市については日本分析センターの土壌調査(調査地点は4月14日)で、小石混じりの土の表面から、ヨウ素131が48000Bq/m2、セシウム134が53000Bq/m2、セシウム137が53000Bq/m2検出されている(3月26日から4月14日の分が含まれてしまっているが各種データを見れば3月25日までの分が圧倒的な割合を占めることは確実)。東京の大部分が千葉市よりも1ランク高濃度であるという新たに分かった事実と、この千葉市の53000Bq/m2という実測値を合わせて考えると、東京の値が53000Bq/m2を下回ることはほとんど考えられない(文科省の降下量データでも千葉より東京の方がセシウム137降下は多い)。また福島市中心地については、5月6日に公開された航空モニタリングの結果でもセシウム137の堆積量が300,000Bq/m2以上という値が出ている。これらのことから、上の予測値の中の最低値よりも最高値の方が現実に近い値であると考えられる。

以上のように今回のWSPEEDIの一部公開によって、3月25日時点のおおまかな値ではあるが、各地のセシウム137の地表堆積量を以前よりはましな方法で推定できるようになった。それにしてもこの国の政府、アルファ線も地表からの放射線の多くもキャッチできないビル屋上で測った放射線量でよくもまあ人々を騙してくれたものだ。

■ チェルノブイリ汚染区分に当てはめてみると・・・

最後にチェルノブイリの汚染区分と比較しておこう。ここでは先述した理由から予測値の最高値を使って計算する。
<セシウム137>
東京(奥多摩以外の大部分):77,000Bq/m2(MBq/km2)=2.1Ci/km2
茨城(北茨城・日立除く):125,000Bq/m2(MBq/km2)=3.4Ci/km2
福島市中心地:500,000Bq/m2(MBq/km2)=13.5Ci/km2
※Ci(キュリー)=37000MBq(MBqは百万ベクレル)

福島市中心地の13.5Ci/km2とは、自主移住が進められたチェルノブイリの第二汚染区分(5-15Ci/km2)に匹敵する。
東京の2.1Ci/km2はチェルノブイリの第三汚染区分(1-5Ci/km2)に匹敵する。この記事ですでに千葉市が第三区分に含まれると書いたが、WSPEEDIの情報から東京の大部分も第三区分に含まれる可能性が濃厚になった。この第三汚染区分は、チェルノブイリ災害から10年から20年の間に、その地域で呼吸しその地域の食品を食べていた人々(成人含む)の中でガンや白血病が増加したエリアである。

これらは3月25日までの堆積量の推定値であるが、もちろんその後もセシウムは放出され続けている。地表がコンクリートでかなり下水に流れたエリアを除けば、堆積量もさらに多くなっているはずだ。福島市近辺でもすでに第一汚染区分(15Ci/km2以上)つまりソ連が強制移住としたレベルにまで達しているかもしれない。航空モニタリングのデータでは30km圏外の飯舘村で81Ci/km2以上(セシウム137)というとんでもない値が出ている。


引き続き政府には、まだ隠し持っているすべてのデータ・予測値の公表と、一向に行われないプルトニウムやウランの計測を求めたい。また25人に1人の子供をガン死させるレベルの学校の基準値や、国際基準より数十倍ゆるい食品・水の基準値を早急に見直し、徹底的な放射性物質の除去・排除に努めてもらいたい。


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まずは送電線を国有化しよう:独占・利益主義から分散・民主主義へ
 

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まずは送電線を国有化しよう:独占・利益主義から分散・民主主義へ
■ 権力者たちの案:札束で事態収拾図ってまた原発推進?

権力者たちから、賠償がらみで、原発と東電の存続を前提にしたゴミのような案がいっぱい出てきた。

まず政府内にある東京電力分社化案。これは巨額の損失を抱え込む原発部門だけを一時東電本体から切り離して、一時的に国営にして税金で尻ぬぐいさせて黒字にしてから電力会社にお返しする、というもの。

次に財界の東電責任なし・政府は金だけ払え論。日本経団連の米倉弘昌(住友化学代表取締役会長)は、今回の原発災害は想定外の天災によるものだから東電に賠償責任はなく、政府=納税者が責任を負うべきで、国有化など問題外、何より株価や原子力産業を守ることが大事だと言っている(ちなみに住友グループといえば茨城県東海村の臨界事故で賠償責任を負ったJCOの親会社が住友金属だ)。

東電以外の電力会社(ただし原発メーカーや出資銀行は入っていない)による「共済制度」を作って共同で賠償金の一部を支払わせる案も急浮上してきた。もっとも、東電はまるまる存続させて利益を認めて、その利益からいくらか出させるというわけだ。

これら案に共通する特徴は、第一に東京電力という重犯罪企業を今後も存続させようとしていること、第二に被曝の被害に遭っている人々の声よりも誰が金を払うかということに関心が集中していること、第三に原発推進というエネルギー政策の基本を見直すといった大局的な視角=反省の欠如である。原発の停止・廃棄の方向性は議論すらされず、耐震基準を見直すだとか電気系統を補強するといった、ちょっと「想定」を変えてみました的なごまかしでまた安全神話を作り、あくまで原発にしがみつくつもりのようだ。ふざけているのか。そんなに短期的な利益が欲しいのか。民主党も自民党も財界も、こんな連中に決定を委ねていては次の浜岡原発大災害=首都圏放棄へとまっしぐらだ。

■ 再生可能自然エネルギー社会と抵抗勢力

チェルノブイリ級の大惨事を現実に引き起こして多大な被害を与えていること、放射能の被害は人体にきわめて深刻で取り返しのつかないものであること、1万年以上私たちの子孫に核のゴミ(放射性廃棄物)の管理を強いるというとんでもないコスト(史上最大の無駄)、原発は技術として欠陥があるだけでなく経済的にも非効率で時代遅れであること、実は自然エネルギーだけで電力需要をすべて満たせること、さらに日本列島が千年に一度の大地震活動期に入ったことなどから、常識的に考えれば分かることだが、原発は直ちに全面停止し廃炉を始めるべき時が来ている。

しかし利権の世界は人間的良識で動くものではない。原子力・石油などリスクが大きく未来もない斜陽産業の大企業が再生可能エネルギーを受け入れないのは当たり前だ。太陽や風や水のエネルギーはどこでも手に入るから、地域や小規模のグループでもローカルに発電ができ、大企業が従来のように利益を独占できなくなる可能性が出てくる。だから大企業の利益の恩恵に与っている御用学者や政治家も一生懸命ポンコツエネルギーを守るため、それがないと世界がまわらないかのような流言飛語を繰り返している。それに加えて核兵器が大好きな脳筋議員も抵抗勢力に加わっていることを見逃してはならない。この連中の特徴は人命よりも利権を優先するという点にある。私たちはただ安心して暮らしていくために、放射能だけでなくこういった権力者ともたたかわなければならない状況にある。

■ 送電線を国有化しなければならない理由

ではどうやって再生可能エネルギー社会に移行するのか。まずは日本全国の送電線をすべて国有化して、電力会社の権力の源である電力流通支配を打ち砕くことだ。

送電線を道路、電気を車にして考えれば分かりやすい。東電のような地域独占企業が送電事業も独占している現状というのは、いわば道路が特定の企業によって独占されていて(彼らは車も作っていて)、彼らの車を買わなければ道路を走ることが許されないという状態である。道路を占有されている以上、あなたがいくらすばらしい車をつくってもそれを走らせることはできない。しかも彼らの作る車とはひどい公害車か、事故を起こせば大爆発して周りを巻き込むような車ばかりである。独占企業から道路を取り上げて国(公共組織)が管理し、逆にクリーンな車を走らせて危ない車はなくしていくような公的な規制を作ることが必要である。つまり送電線を独占企業の手から引き離して公有・公共財産とすることで、ローカルな再生可能エネルギー発電を抑圧せずにむしろ推進していくことが可能になる。(ちなみに同じ国有化でも政府内の一部にある「原子力発電部門のみ一時国有化」という議論が東電を喜ばせるだけで庶民にデメリットしかもたらさないゴミ案であることはもうお分かりいただけたかと)

この問題は賠償とも関係する。おそらく今回の賠償をまともにやるならば10兆を越えるだろう。ここでも書いたように、賠償はまず原発産業全体が可能な限り負うべきであるが、その上で政府が電力会社の送電部門を収用することを必須の条件として賠償金を一部肩代わりする、というのが被曝した人々や納税者にも納得がいくやり方だ(米倉の言うような税金で東電を救っておいて東電は儲け続けるし公的資産は一切増えないしでは誰も納得できるわけがない!)。

送電線の国有化で困るのは、電力会社とそれに出資してる銀行くらいで、基本的にこれをやらない政府は人々の利益を損ねていると考えて良い。

■ サステイナビリティの意味:自由化ではなく民主化を

では発電部門はどうすべきか。一昔前には何でもかんでも自由化・民営化すればいいといった風潮があったが、それは一部の人間が公共財産を私物化して儲けるための躰のいい言い訳に過ぎない。自由化=市場主義というのは短期的には機会を増やすように見えるが、長期的には資本力のある企業がより強くなって各地の電力供給をまた独占しはじめる(実際自由化した国でその傾向が見られる)。そして自由化=市場主義では利潤動機(金儲け主義)ばかりが重視され、地域を良くしたいとか安全に暮らしたいといった他の動機が軽視され、最終的には持続可能性のない格差社会が作り出される傾向がある。

エネルギーや環境の持続可能性を追求するならば、社会も均衡のとれた持続可能なものにすべきではないか。そのためには好き勝手やらせるだけではダメで、利益よりも人命が尊重される社会にするためのいろんなルールを民主的に決めていくことが必要だ。例えば送電部門を取得した政府は、原子力を含む旧式有害エネルギーの廃棄・再生可能エネルギー普及促進といった大きな基本方針を作った上で、それがまともな雇用を創出したり都道府県・自治体・地域の零細業者・非営利組織・地方大学などが持続的・分散的に発電供給にかかわれるような社会的ルールも作れるはずだ(ドイツは再生可能エネルギーへの転換を政策的に正規雇用創出・ワークシェアリングと結びつけた)。状況によってはもっと利益の出る場所に資本移動ができてしまうような大企業に依存するよりも、その土地で生きていく人々が自治体に雇われたり自治体と契約したりして発電を直接営む方が、職業の長期的持続可能性という視点で考えれば優れている。一元管理となる旧式発電所では難しかったが、太陽光・風力・波力・地熱・水力など自然エネルギー発電の場合はローカルな管理こそ適している。これまで原!

発で儲けてきた電力会社には原発の廃炉・燃料廃棄という当然の責任を果たしてもらうことに専念してもらおう。地域住民がグリーンエネルギーの供給権を掌握できれば、地方経済活性化や災害復興の助けにもなるだろう。このように本当の意味でサステイナブルな社会をつくっていくには、市場原理ではなく住民世論、つまり民主主義の力が必要である。

まずは再生可能エネルギーのことを学び(ざっと調べたらこんなのが見つかりました~パネルなし太陽光発電・ジャイロ式波力発電・洋上ハイブリッド風車・マイクロらせん水車)、住んでいる場所や近海でどんな発電が可能なのかを考えてみよう。そして自治体が何をやっているか、やっていないのかを調べて、市議会議員に聞いてみよう。

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風力だけで原発950基分の潜在発電量:環境省「再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査」
やはり原発は必要なかった。私たちは全く不必要なもののために、多額の税金をつぎこみ、最低の利権集団に権力を握らせ、レベル7の大災害を引き起こし、大地と海を汚し、野菜や魚を放射能まみれにし、25人に1人の子どもをガンで殺すことを容認する基準まで作り、何万年も放射能を出し続ける廃棄物の管理を子孫に押しつける、ということをやってきた。もし3・11でも変われなければ日本は放射能まみれで衰退していくだろう。だが今なら希望はある。

先日公表された環境省「再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査」報告書によると、日本の風力だけで、原子炉950基分に相当する電力を生み出せることが分かった。日本にはとてつもない量の利用されていない再生可能な自然エネルギーが眠っており、それを有効活用すれば、原発をすべて停止・廃棄しても日本は十分にやっていけるということが、初めて政府の調査から証明された。「原子力は日本の電力の3割を担っている」というお話が原発容認の根拠にならないことが、これを読めば誰にでも納得できるはずだ。

報告書は、再生可能な自然エネルギーとして、太陽光・風力・水力・地熱を取り上げ(日本では最も将来性がある波力は含まれていない)、その「賦存量」(化石燃料でいえば埋蔵量を意味する)だけでなく、「ポテンシャル」(地理的・社会的な制約を考慮して環境省官僚が判断した実際に活用可能な量)を算出している。これは現在の技術レベルで官僚が現実的と考えた範囲内でのポテンシャルであり、社会的条件の変化や技術の進歩などによって上方修正も可能な値である。

報告書によると、風力だけでも以下のようにとんでもない量のポテンシャルがあることが分かった。参照ページ:104-108

陸上風力発電
シナリオ3(風速5.5m/s以上エリア・稼働率26%):6838億kWh/年(原子炉133基分)
シナリオ2(風速6.5m/s以上エリア・稼働率31%):4588億kWh/年(原子炉89基分)
シナリオ1(風速7.5m/s以上エリア・稼働率37%):2258億kWh/年(原子炉44基分)

洋上着床式風力発電
シナリオ3(風速6.5m/s以上エリア・稼働率30%):8009億kWh/年(原子炉156基分)
シナリオ2(風速7.5m/s以上エリア・稼働率35%):2903億kWh/年(原子炉57基分)
シナリオ1(風速8.5m/s以上エリア・稼働率41%):183億kWh/年(原子炉4基分)

洋上浮体式風力発電
シナリオ3(風速6.5m/s以上エリア・稼働率31%):33900億kWh/年(原子炉661基分)

シナリオ2(風速7.5m/s以上エリア・稼働率36%):16222億kWh/年(原子炉316基分)

シナリオ1(風速8.5m/s以上エリア・稼働率41%):2013億kWh/年(原子炉39基分)

風力発電合計
シナリオ3合計:48747億kWh/年(原子炉950基分)
シナリオ2合計:23713億kWh/年(原子炉462基分)
シナリオ1合計:4454億kWh/年(原子炉87基分)

解説:陸上風力シナリオ3の「風速5.5m/s以上エリア」とは、高度80メートル地点で風速5.5メートル以上が見込まれるエリアに風車を設置していった場合の発電量、という意味である。シナリオ1は風が最も強いごく限られたエリア(下記マップ上の赤色部分)にのみ風車を設置した場合であり、シナリオ2はそれよりも少し風が弱いエリアも含めた場合(下記マップ上の赤・黄色部分まで)、シナリオ3はさらに設置エリアを拡大した場合(下記マップ上の赤・黄・緑色の部分まで)である。シナリオ1は短期的に最優先エリアの風力で得られる発電量、シナリオ3は中長期的に見込まれる全風車からの総発電量、と言い換えてもいいだろう。風は常に吹いているとは限らないので稼働率も考慮されている。シナリオ1のエリアは風が最も安定しているので稼働率をやや高めに想定できるが、エリアを拡大すれば全体の想定稼働率は下がる。

原子力発電の原子炉1基あたり発電量については、このサイトを参考にして以下のように計算した。
2009年の日本全体の年間総発電量=9565億kWh/年
うち原子力は29%=2774億kWh/年
これを原子炉数54で割ると=1基あたり51.3億kWh/年

陸上風力のシナリオ1というのは、陸上で風が最も強く安定している限られたエリア(下記マップ上の陸上の赤い部分)にだけ風車を設置した場合、つまり私たちが最も努力をせずにごく短期間で作れる陸上の風車だけからの発電量であるが、これですら原発44基分に相当するエネルギー(日本の総発電量の4分の1)が生み出せる。もうちょっとやる気を出して陸上シナリオ2に以降する頃には、原発89基分のエネルギー(日本の総発電量の約半分)が作り出せている。何度も言うがこれは陸上の風車だけの発電量である。すべての原発をごく短期間で全部停止しても供給電力は一切減らないことが分かる。

シナリオ3の陸上・洋上風力の合計発電量は現在の日本の総発電量の5倍、原発950基分つまり全世界にある原発435基すべての発電量の2倍を上回る量である。これは現在の技術レベルで可能な、稼働率なども考慮された値であり、発電量を算定したのは控えめな数値しか出さない国家公務員の専門家である。今後普及が見込まれるらせん状回転棒を使った風車(風速50メートルの台風にも耐えるし鳥や低周波の問題も抑えられる)なら従来のプロペラ式風車の約4倍ものエネルギーが生み出せるが、ここで計算されている発電量はあくまで従来型の風車を想定した値である。自然エネルギーが「貧弱・安定しない・時期尚早・効率悪い」といった議論は利権集団がまき散らしてきた根も葉もない嘘である。「発電単価」でも自然エネルギーは原子力より全然安い。もともと原子力の「発電単価」とは、何万年も放射性廃棄物の管理を後世に強いるコストや頻発する事故への賠償コストなどを除外したインチキな値であったが、インチキしても負けているという有様である。私たちは思い込みをやめて科学的事実を受け入れ、圧倒的な自然の恵みを再認識!

すべきである。もしも私たちが本気を出せば、風力だけで原発と化石燃料火力をすべてやめても十分おつりが来る発電が可能だ。

もちろんこれはあくまで可能だという意味であって、風力だけで不必要な電気まで作るべきだと言っているわけではない。持続可能性と安定性を最大化するエネルギー源は、枯渇しないだけでなく多様で地の利を活かしていることが望ましい。特に国土の10倍以上の洋上面積をもつ日本では、洋上での太陽光・波力・風力を組み合わせたハイブリッド発電が合理的選択となる。これは海に囲まれた島国、日本ならではの自然との共存のあり方であろう。さらに火山国であるという特質を活かした地熱発電や、水が豊富にある地の利を活かした水力発電を、バランス良く組み合わせていくことが望まれる(なおバイオマスは再生可能とするためには植林を併用しなければならないようなので当ブログでは再生可能エネルギーに含めないことにした)。

◇ 風力発電で高いポテンシャルのあるエリア
※風速:赤>黄>緑、上記シナリオ1は赤のみ、シナリオ2は赤と黄のみ、シナリオ3は赤・黄・緑のエリアに風車を並べていった場合の発電量
※色のついた部分はあくまで最も効率の良いエリアであり、色のついていない部分でも風力資源が十分確保できるエリアはたくさんある
<画像をクリックすると拡大されます>

◇ 地熱資源の「埋蔵量」が多いエリア
※53度以上の地熱が見込まれるエリア、熱量・発電量は赤>黄>緑

マップを見ると、既存の技術でもすぐに大量の電力を作り出せる風力エネルギーは、人口が密集していない地方に有利だということが分かる。特に北海道や東北は、原発依存社会を続ける限り核のゴミ捨て場とされてしまうが、原発をやめて自然エネルギー社会を実現すれば日本最大のエネルギー供給地に生まれ変わる。静岡県は風力資源埋蔵量と大都市との距離から考えると風力王国として末永く栄えることができるが、近いうちに確実に起こる東海大地震の震源の真上に建てられた浜岡原発を即刻停止させなければ、首都圏と名古屋圏を巻き添えにして人の住めない場所になるだろう。これは原発反対か推進かの選択というより繁栄か滅亡かの選択だ。東日本大震災の被災地域もこれまで原発・再処理施設を受け入れる見返りに補助金に依存してきた地方も、再生可能エネルギーの導入によってより地域密着型で持続可能な産業と雇用を生み出すことができる。自然エネルギーを活用すれば資源輸入に無駄な金を使ったり自然に怯えながら綱渡りする必要はなくなる。そのためにも国レベルでは送電線を国有化してエネルギーシフトを国策として進めなければならない。そして毎年何兆円も払!

ってウランなど発電用枯渇燃料を輸入することや年間4500億円もの原子力予算をやめて、その豊富な資金を再生可能エネルギーの方に振り向けるべきである。

再生可能エネルギーは日本だけでなく全世界のエネルギーを満たせる。ヨーロッパ諸国は再生可能エネルギーへの転換で日本よりも先を行っている。以下は、米国科学アカデミー会誌(2009年6月)掲載論文で算定された世界の風力ポテンシャル(単位は億kWh/年)である。どの国でも自然エネルギーだけで電力需要が満たせることが分かる。例えばアメリカの風力発電のポテンシャルは年間消費電力の23倍にも達している。

年間消費電力 陸上風力ポテンシャル 洋上風力ポテンシャル 全風力ポテンシャル
全風力/全消費電力
米国 38159 740000 140000 880000 23.1
中国 23985 390000 46000 436000 18.2
ロシア 7796 1200000 230000 1430000 183.4
日本 9741 5700 27000 32700 3.4
インド 4888 29000 11000 40000 8.2
ドイツ 5457 32000 9400 41400 7.6
カナダ 5405 780000 210000 990000 183.2
イギリス 3486 44000 62000 106000 30.4
韓国 3522 1300 9900 11200 3.2
イタリア 3075 2500 1600 4100 1.3

もう自然に反する生き方や科学の誤用はやめ、自然と共に生きるかたちで科学を使おう。この地震大国で一握りの人間を儲けさせるためだけに事故を起こしては放射能をまき散らし数万年も放射性廃棄物で私たちの子孫を無駄に苦しめる原発はすぐに全部廃止して、地球温暖化をもたらす化石燃料を使った火力発電もやめ、安全でクリーンで大量で安くて雇用と均衡発展をもたらす再生可能な自然エネルギーによって成り立つ持続可能な社会を築いていこう。
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ジャーナリスト、池田知隆のブログです。最近の記事、イベント情報などを掲載しています。

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