09 06

米国:格安シェール・ガス出現で原子力の競争力が急降下 フランス電力公社、米国での原発建設を予定せず/ルモンド紙

◎米国:格安シェール・ガス出現で原子力の競争力が急降下 フランス電力公社、米国での原発建設を予定せず/ルモンド紙(9月5日)&ラ・トリビューン紙(8月31日)
2012年9月 5日 (水) http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/95831-83e9.html
 米国の原子力規制委員会は8月30日、フランス電力公社(仏最大の電力会社)が提出していたメリーランド州カルバート・クリフにおける最新型原子炉EPR(欧州加圧水型炉)の新規建設についての申請を却下した。米国の法律は外国籍企業主体の原発建設を禁じているが、フランス電力会社は2010年に米国企業との連携を解消(注)
、ラ・トリビューン紙によれば今回の却下は事前に予想されていた。なぜフランス電力会社が事前に申請を取り下げなかったのかは不明だが、米国では格安シェール・ガスの出現により原子力が競争力を失っており、フランス電力公社はこれを踏まえ2010年以降は米国でのEPR(欧州加圧水型炉)建設を計画していない。
(注)フランス電力公社は2010年、米国にて共同企業体ユニスターを結成した際の米国籍パートナー・コンステラシオン・エネルギー社を買収、米国籍企業とのパートナー関係については解消するに至った。
● 元の記事
1.「フランス電力公社、米国にEPRを建設できず」/ルモンド紙(9月5日)
(≪ EDF ne pourra pas construire d’EPR aux Etats-Unis ≫, Le Monde, 2012.09.05)
2.「原子力:米国政府、フランス電力公社の事業を『落第』に」/ラ・トリビューン紙(8月31日)
(≪ Nucleaire : l’administration americaine retoque le projet d’EDF ≫, La Tribune, 2012.08.31)
http://www.latribune.fr/entreprises-finance/industrie/energie-environnement/20120831trib000717235/nucleaire-l-administration-americaine-retoque-le-projet-d-edf.html

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◎行き場を失ったフランスの放射性廃棄物: 裁判所による貯蔵庫の建設許可差し止めと、強まる周辺住民からの「反対」の声/ルモンド紙(8月29日)
2012年9月 2日 (日) http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/829-6e8f.html
 フランスの電力政策を支える原子力。しかし放射性廃棄物の保管場所は確保されていない。そして隣国のスイスからも、国境地域での中間貯蔵庫の建設に反対する姿勢が公式に打ち出されつつある。
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目の前に、打ち捨てられた工事予定地らしき場所が広がる。背景にはビュジェー原発の4つの原子炉から伸びる冷却塔の煙突。
 「ここに放射能のゴミ捨て場はいりません!」
 「ビュジェー原発を止める会」のメンバー、ジャン‐ピエール・コレが叫ぶ。
 ここはリヨン市(フランス第2の都市)から約30キロの距離に位置するアン県(注1)ビュジェー原発(注2)に通じる道の円形交差点。約100人強の周辺住民が結成する「ビュジェー原発を止める会」は、毎月1-2回、この場所を占拠して抗議行動を行っている。ジャン‐ピエールは地元の学校につとめる教員だ。白のつなぎを着た市民らが円形交差点に横断幕を揚げる。
 「もうすぐ何千トンもの放射性廃棄物が、全フランスからビュジェーに運び込まれ貯蔵されます。イセダ(ICEDA)反対」
 「イセダ(ICEDA)」とは何だろうか?イセダは、フランス電力公社(フランス最大の電力会社)がビュジェー原発の敷地内に建設を開始した放射性廃棄物の中間貯蔵施設を指している。フランス電力公社は廃炉の時期を迎えた9つの原子炉(増殖炉を含む)から出る放射性廃棄物を、ここにまとめて貯蔵することを予定している。
●建設許可の差し止め
 合計8千平方メートルにわたる巨大な3つの広間からなるこの建物は、2千トンにのぼる放射性廃棄物を貯蔵できるように設計されている。持ち込まれる予定の廃棄物の放射線量は中程度だが、300年以上の長きにわたって管理する必要がある。
 フランス電力公社は、建設中の施設を「貯蔵庫」ではなくて「経由施設」だと説明する。これらの廃棄物は、現在建設中で2025年から開設が予定されているビュール県の地下貯蔵施設に退避させられる予定だからだ。しかしそれでも、中間貯蔵庫は50年間の間廃棄物を保管し続けなければならない。
 1億5千万ユーロ(約150億円)をかけて建設されたこの施設は、あと機材を搬入すれば良いだけの状態にある。そして2014年の初めには開所のはずだった。しかし、今年の1月にリヨンの行政裁判所から建設許可の取り消し判決が出て以来、全ての工事は止まったままだ。
●高まる反対の声
 工事の差し止めに成功したのは、「ビュジェー原発を止める会」の活動家たちではない。近隣で果樹や野菜、花を栽培する園芸農家、レオナール・ルーゼンである。ルーゼンは原発から廃棄される水を使って、ヤシの木などの熱帯植物を育てる温室の保温を行って来た。しかしルーゼンの弁護士はこう述べる。
 「発電所の近くで(野菜や果物を)栽培しているというのと、放射性廃棄物の中間貯蔵庫の近くで育てているというのでは、与える印象が異なります。」
 今回、放射性廃棄物の中間貯蔵庫建設の差し止めを命じた裁判官たちは、中間貯蔵庫が本来「ビュジェー原発に関連する活動しか行ってはならない」との規定に反していると指摘した。
 ビュジェー市の市長、マルセル・ジャキンは言う。
 「もともと2006年に計画が立ち上がった時、私達は反対しました。それが2010年になってアン県の知事が建設許可を出し、当時の首相だったフランソワ・フィヨンが許可を出すための命令に署名を行ったのです。今日では、国が私たちの代わりに物事を決めるより、私たち自身が私たちの要求事項に従って直接物事をコントロールする方が良いと考えています。」
 それでも中間貯蔵施設の完成をもくろむフランス電力公社の前に、別の障害がもちあがっている。ビュジェーから100キロほどの距離にある隣国スイスのジュネーブ市とジュネーブ州が、フランス議会に施設の建設反対の訴えを起こしたのである。ジュネーブ州は、
 「州はいかなる法的・政治的手段を用いても、中・高度の放射性廃棄物を貯蔵する施設や再処理工場を敷地内および近隣に建設することに反対する。」
と定めている。
それだけではない。7つの原発に反対する市民団体も同じく議会に対し訴えを起こした。彼らは放射性廃棄物が鉄道や道路を使ってビュジェーに運搬されることの問題点を指摘している。
 一つの質問が頭をもたげる。フランスにある原発を廃炉にした後、その放射性廃棄物をどうするのか?答えは見つかっていない。
(抜粋、一部編集)
(注1)ビュジェーが位置するアン県は、フランス東部に位置する自然と花に囲まれた緑豊かな地域。人口57万人のこの県はスイス国境に位置し、ジュネーブ市からの距離は110キロ。
アン県の風景はこちらです。
http://www.google.co.jp/search?q=ain+france&hl=ja&prmd=imvns&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=Hes-UJv8J67nmAXNoICIDA&sqi=2&ved=0CDAQsAQ&biw=1120&bih=577
(注2)ビュジェー原発(仏語ですが、写真をどうぞ)
http://fr.wikipedia.org/wiki/Centrale_nucleaire_du_Bugey
●元の記事:「原子力:廃炉で発生するフランスの放射性廃棄物をどうするのか?」/ルモンド紙(8月29日)
(Pierre Le Hir, ≪ Nucleaire : que faire des dechets francais de demantelement ? ≫, Le Monde, 2012.08.29)
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◎チェルノブイリの放射能汚染:若い世代ほど遺伝子変異が蓄積/ルモンド紙(8月16日)
2012年8月21日 (火) http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/816-3e17.html
 サウス・キャロライナ大学のティモシー・ムッソ教授(生物科学)は、南部パリ大学のアンダース・パップ・モレー教授(動物学)と共に、チェルノブイリ周辺の立ち入り禁止区域における放射能汚染と生態系への影響について研究を行ってきた。福島周辺で蝶の奇形が増加している可能性があるとの研究結果が発表されたのを機に、ルモンド紙はムッソ教授にインタビューを行った。
●ルモンド紙: 1986年に事故を起こしたチェルノブイリ原発周辺の汚染地域(現在のウクライナ共和国)に生息する動物の生態について、何がわかっていますか?
ムッソ教授: 曖昧な点は全くありません。放射線の強度と私たちが調べた生物―複数種の鳥、昆虫、蜘蛛―の状態には非常に強いマイナスの関係があります。汚染地域に住む動物たちは、繁殖数でも健康面でも、汚染されていない地域の動物に比べより劣悪な状態にあります。原因は(各個体における)遺伝子の変異にあります。そしてこの変異は個々の生物にとどまらず、生態系内の動植物同士の関係にも影響を与えています。たとえばチェルノブイリの果樹は、受粉を媒介する昆虫の減少によりひどく衰退しました。
●チェルノブイリ原発事故から26年が経った今、周辺地域での放射線量は低下しています。
 その通りです。しかし放射能被ばくによって引き起こされた突然変異は蓄積され、新しい世代ほどより深刻な遺伝上の影響を被っています。それがまさに、私たちの日本の同僚(注:福島周辺での蝶の奇形を報告した大瀧丈二准教授ら研究者)が蝶について見つけたことなのです。第二世代や第三世代は第一世代より更に深刻な(放射能被ばくの)影響を被るのです。
●チェルノブイリでは鳥の数が減少しています。これは放射能による遺伝上の影響に関係するのでしょうか。それとも鳥が食べるものに関係があるのでしょうか。
 鳥の数が減少した背景として、複数の要因が組み合わさっていると思われます。放射線量が最も高い地面の上に生息する昆虫を食べる鳥は、他の鳥に比べて最も深刻な影響を受けています。鳥たちに見られる突然変異の原因が何であれ、変異率が最も高い鳥たちは汚染に最も弱い種類の鳥たちです。他の動物に比べて長距離を移動し春に繁殖期を迎える種についても、一つの場所に住み続ける動物に比べより強い負の影響が見られます。
●全ての種が同じように影響を受けますか?
 全ての種が(放射能汚染の)影響を受ける訳ではありませんが、大多数が影響を受けています。個体数が増えた動植物もあります。たとえば昨年私たちが福島で調査を行っていた時期、福島の最も放射能に汚染された地域で蜘蛛の数が爆発的に増加したことを確認し、私たち研究者は大変驚かされました。
●チェルノブイリ周辺の植物についてはどうですか?
 ほとんど研究がなされていないのですが、既存の研究によれば遺伝性の突然変異が起きる率が上昇しています。そして汚染地域では他の地域に比べ生物の種類がずっと少なくなっています。
●福島とチェルノブイリで異なる点は何ですか?
 チェルノブイリでは、原発事故が起きた直後の最初の数か月については動物の生態の変化についての研究がほとんど全くなされませんでした。日本では反対に、研究者たちがずっと早くに調査を開始しています。又、チェルノブイリでは大多数の生物について大きな減少が見られましたが、福島では鳥や蝶の減少がちょうど観察され始めたところです。
(抜粋、一部編集)
●元の記事:エルベ・ケムプ「チェルノブイリでは最近の世代ほど遺伝上の影響」/ルモンド紙(8月16日)
(Herve Kempf, ≪ A Tchernobyl, ≪ les effets genetiques sont plus grands sur les generations recentes ≫. Questions a Timothy Mousseau, biologiste a l’universite de Caroline du Sud≫, Le Monde, 2012.08.16)
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◎福島の蝶:後の世代ほど高い奇形率/ルモンド紙(8月16日)
2012年8月18日 (土)http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/816-fb7e.html
 2011年3月の福島原発事故以来、福島周辺の蝶に様々な奇形が観察されている。そしてこれらの奇形が発生する率は、世代を追うごとに増加している。原発事故が原因と見られるこの現象は、1986年に起きたチェルノブイリ原発事故の後で見られた昆虫や鳥の生態の異変および人体への影響にも重なっている。
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 縮んだ羽、曲がった羽、もしくは異常に多い羽をもった蝶たち。変形した触覚、でこぼこの目。変色した体。孵化できなかったサナギたち。不妊になり子どもを産めなくなった蝶。
 沖縄県琉球大学の大瀧丈二(おおたき じょうじ)准教授が率いる研究者チームが学術誌「科学報告書」(Scientific Reports)に発表し、ネイチャー誌を通じて公開された調査結果(注1)は、福島県の周辺で蝶の生態に非常に深刻な異変が起きていることを伝えている。
●蝶の写真はこちら(ルモンド紙の記事より)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2012/08/15/des-papillons-mutants-autour-de-fukushima_1746252_3244.html 
 蝶の羽の色は、気候変動の影響を反映するなど周囲の自然環境の変化に鋭敏に反応することで知られている。今回の調査ではまず福島原発事故が発生した2か月後の2011年5月に、福島原発から200キロ以上離れた東京など10ヶ所を含む地点で144匹のヤマトシジミ蝶が収集された。12%の蝶に羽、目、触覚を中心とした奇形が見られ、実験室での培養では第二世代で18%の蝶に奇形が発生、第三世代では33.5%にのぼった。
 事故から6ヶ月後の2011年9月に行なわれた第二回目の調査では、238匹の蝶が採集された。これらの蝶のうち奇形が生じていたのは全体の28%、その後第二世代では52%に同様の奇形が見られた。比較のために実施した実験室内での実験では、健康な蝶に放射線(注2)を照射したところ、同様の奇形が生じることが分かっている。
 大瀧教授は福島原発事故により大量に放出された放射能の影響により奇形が発するという因果関係について「科学に100%確実ということは無い」として断定を留保しつつ、「今回のような奇形はかつて見たことがない」として、原発事故が蝶の生態に大きな影響を与えたことを否定しない。研究者チームは福島原発から放出された放射性物質による外部被曝だけでなく、蝶が汚染された木の葉を食べたことによる内部被曝も影響を与えたと見ており、現在より確度の高い検証を行うため、福島県で他の昆虫や小動物について同様の調査を予定している。
 「今回の調査は(原発事故が与えた)福島周辺地域の生態系と人間への影響を考える上で貴重な成果です。」
 チェルノブイリと福島で原発事故による動植物への放射線被曝の影響を調査しているサウス・キャロライナ大学のティム・ムッソ教授(生物学)は述べる。
 「これらの奇形の原因は、被曝の影響以外には説明のしようがありません。」
 現在のところ、公式には福島原発事故を原因とする被曝で亡くなった人はいないとされている。しかし医学や生物学の専門家たちは被曝の影響がただちに現れるものでは無いことを指摘しており、こうした(晩発性の)被曝の影響こそが、福島県から避難した8万人の人びとや事故処理にあたる原発作業員たちが危惧する問題となっている。
(抜粋、一部編集)
(注1)Scientific Reportsに掲載された大瀧准教授ら研究チームによる論文はこちら
「The biological impacts of the Fukushima nuclear accident on the pale grass blue butterfly」(蝶に関する全画像を含む)
http://www.nature.com/srep/2012/120809/srep00570/full/srep00570.html 
(注2)蝶の1ヶ月の生涯を通じ55ミリシーベルトという比較的高い量の放射線を照射し、実験を行った。
●参考: 「フクシマウォッチ:原発事故後にチョウの奇形が増加」/ウォールストリートジャーナル(8月15日) http://jp.wsj.com/japanrealtime/blog/archives/13332/ 
●元の記事:フィリップ・ポンス特派員(東京)「福島の周辺で奇形化する蝶」/ルモンド紙(8月16日)
(Philippe Pons, ≪ Des papillons mutants autour de Fukushima ≫, Le Monde, 2012.08.16)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2012/08/15/des-papillons-mutants-autour-de-fukushima_1746252_3244.html
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