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福島第一原子力発電所の今と未来>「福島はチェルノブイリよりもっとずっと困難です」小出裕章氏インタビュー(文字起こし)

<福島第一原子力発電所の今と未来>「福島はチェルノブイリよりもっとずっと困難です」小出裕章氏インタビュー(文字起こし)
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福島第一原発のいまの状況

岩上:
福島第一原発のいまの状況という事についてですね、ご意見を聞かせていただきたいんですが、
新しいニュースでは3号機の建屋内でですね、
先日床を測定した際に、4780ミリシーベルトという数値が出たと。
で、昨年10月にはほぼ同じ場所で、1300ミリシーベルトという事で、
これはどういう事なんですか?なぜ上がってるんだろう?と。
これはあの、東電会見で質問が出た時には、東電側は
「マイクロスポットによっては全然違うから、たまたまそれだけのことだ」ということなんですけれども、
随分時間が建っていてですね、少しずつは線量が下がっているんではないかと、
こういうふうに世間は思っているんですが、
実態は今どういうふうになっているとお考えですか?


小出:実態を把握することができないというのが実態だと思います。

岩上:実態を把握する事が出来ない。

小出:はい。
要するに今おっしゃった線量があるような場所というのは、猛烈な被ばく環境ですから、

そこでゆっくりと測定するという事すらが許されないわけです。
確かに時間が経っていて、短い半減期の放射性物質は減ってくれていますけれども、
でも問題はもう、短い半減期の放射性物質ではなくて、
セシウム137というような、半減期が30年というような放射能が今汚染の主体になっているのですね。
ですからもう、実質的には「減らない」と思うしかないし、
むしろ移動しているんですね、汚染が。
もともとは炉心の中にあったものですけれども、
炉心自身が溶け落ちてしまっている訳ですし、
そこにとにかく冷やし続けなければいけないと言って、
水をジャージャーと流しこんでいっているのですけれど、
それでまた、多分あちこちにぐるぐると移動して、汚染が移動、あるいは広がるという、

そういう状態にあるんだと思いますので、
昔はそれほどではなかったところにまた新たな汚染が出てくるという事はもちろんあるし、
そういう場所を一つ一つつきとめながらというか、
もう被ばくをしながら、実態を少しずつ把握をしていくというと、
そして対処するという事しかないのですが、

みなさん・・・国とか東電の情報だけしか聞かない限りは、
何か、事故収束に一歩一歩進んでいるというふうに思われるかもしれませんが、
…そうではないと思います。

岩上:そうではない。

小出:
はい、もう、猛烈な被ばくをしながら、とにかく拡大するのを防がなきゃいけない。
食い止めなければいけないという作業が、この間ずーっと続いてきているわけですし、

これからも何年という単位ではない、何十年という単位でこの苦闘を続けなければいけないという、
そういう現場です。

岩上:
あの、チェルノブイリではですね、いったん石棺で覆った。
しかし、その石棺もだいぶ老朽化して来て、
さらに少し離れた場所に鋼鉄製のですね、シェルターをつくり、それをこう、レールで引っ張ってきて、
さらなる上に覆いをかぶせる。
その計画が進んでいるというのは前にも私もお伝えしていたんですけれども、
このたびそれがほぼ完成して、お披露目といいますか、という事になって、
1000億ですか、大変なお金をかけて。
こういう事が、つまり石棺の部分はなにもいじられてないわけですよね。

小出:そうです。

岩上:
こういう状況が、
チェルノブイリと同じような状況が、福島も続いていくというふうにお考えでしょうか?

小出:福島はもっとずっと困難です。

岩上:ずっと困難。

小出:はい。
まずは放射性物質が存在している場所が二つあって、
一つは溶けてしまった炉心の場所にあります。
でもその溶けてしまった炉心が、いったいどこにどういう状態であるのか?
という事すらがまだ分からないのです。
それが分かるようになるまでには、多分10年では利かないかもしれないと私は思います。

で、もうひとつは使用済み燃料プールというところに、使用済みになった、
つまりウランが燃え尽きて膨大な放射能のかたまりになってしまったという燃料が、
そこもまた膨大にプールの底にいま沈んでいるのですね。
で、沈んでいるんですけれども、
1号機も3号機も使用済み燃料プールがある、その階ですね。
オペレーションフロアーと私たちが呼んでいるところで爆発が起きて、建屋が吹き飛んで、
崩れた機材などがプールの中に落ちてしまっているのですね。
その場所も猛烈な放射能汚染した環境ですし、
どんなふうにプールの中がなっているか?という事自身もまだはっきり分からない。

で、でもプールの底に沈んでいる猛烈な放射能のかたまりは必ず取り出さなければならないのです。
プールの底から取り出して、どこか少しでも安全な場所に移すという作業をしなければいけない。

でもその作業をするためには、
猛烈な放射能のかたまりの燃料をプールの底から引き上げなければいけないのですが、

水面から引き揚げてしまうと周辺の人がバタバタと死んでしまうというほどの危険物なのです。
ですから、

岩上:そんなに危険なんですか、

小出:
はい。燃料はプールからそのまま引きだすことすらできないのですね。
ですからやり方としては、プールの底に鋼鉄と鉛でできた巨大な容器。
私たちがキャスクと呼んでいる物をまず沈める。
その容器の中に使用済み燃料を水面下で移動させて、その容器の蓋をして、
初めて、その容器をつり上げる事ができると。

岩上:ずーっと一緒にという事ですね、

小出:そうです。

岩上:あー。水に浸したままでないとダメという事ですか。

小出:
浸したまま、そして鋼鉄の鉛のかたまりで放射線を遮蔽しながら、
プールの上につり上げるという事をやらなければいけない。
しかし、そのキャスクというのは重さが100トンもあるのですね。
ですからそれをプールの底に沈めたり、あるいはつり上げたりしようとするなら、
猛烈に巨大なクレーンがいるのですが、
その猛烈に巨大なクレーンはすでに爆発で壊れてしまっている。
建屋自身がない。クレーンを支えるための。
無いわけですから、まずこれから、建屋を新たにまた作る。
そして巨大なクレーンを設置する。
そして初めてつり出せるようになるわけですが、その作業が始められるようになるまでに、

いまやっているのは4号機なんですね。
4号機は比較的放射能汚染が少なかったので、今その作業ができているのですが、
4号機で使用済み燃料をつり出すことができるようになるまでに、
「来年の暮までかかる」と言っているのですね。
それからつりだす作業が始まって、
「何年かかるんだろうか」と思うほど困難な仕事がある。

それから1号機もやらなければいけない。
2号機もやらなければいけない、3号機もやらなければいけない。
もう…大変な被ばく作業を何年もかけながらやって、
初めて使用済み燃料プールから使用済み燃料が別のところに動いたという段階で、
今度は石棺をつくるという。

岩上:作業に取り掛かると・・・

小出:
もう10年後になるのか20年後になるのか、わかりません。
おまけに国や東京電力の主張によれば、
今はどこにあるか分からない溶け落ちた燃料そのものも、
「どこかに掴みだしたい」と彼らはいまだに言っているのです。

それをもし本気でやるなら、また10年かかるか20年かかるかという、
そういう作業になってしまいますし、
私は多分それはできないと思っています。

岩上:できない?

小出:できない。

岩上:技術的に?

小出:
はい。技術的にできないし、
もしそれをやろうとすると猛烈な被ばくになってしまって、事実的にできないと思います。

岩上:あぁ、無理なんですか、

小出:
だからもう、溶け落ちたものは諦めて、
チェルノブイリでやったように、もうその場で封印するしかないと思います。
でも、使用済み燃料プールの底にあるものだけはとにかく出さなければいけない。
それを出すために10年というような歳月がかかって、
それから石棺をつくる作業が始まって、何年かかけて石棺をつくれるかもしれません。

でも出来上がった石棺も、いまチェルノブイリでそうであるように、いずれボロボロになります。
そうなれば、

岩上:30年もたたないで老朽化してしまう、

小出:そうです。

岩上:で、新たなシェルターが必要になる。

小出:そうです。

岩上:これの繰り返しをずっとやっていかなければならない、

小出:
これから何百年とやらなければいけないわけですね。
ですから私自身はあと何年生きるかは自分でよく分かりませんけれども、
ひょっとしたら初めに作る石棺を見る事ができるかもしれないと、思いますけれども、

次の石棺の時には私は決して、絶対に生きていないわけで、
私たちの子どもあるいは孫の世代が、また次の石棺をつくらなければならない。
そして彼らもきっと死に絶えた頃に、また次の石棺をつくらなければいけないという、

そういう作業がずーーーーーーっと続いてしまうという事なのです。

岩上:
あの、4号機の問題だけが強調されているような気がします。
で、我々もそれに引きずられていて、4号機だけがとりわけ危険なのかというふうに思っておりましたが、
今の小出先生の話だと、1,2,3号機とも、その使用済み核燃料の問題があって、

小出:そうです。

岩上:
で、より困難であると。
ちょっと驚いたんですが、これ、4号機問題というのだけが強調され過ぎという事なんですか?

小出:
えっと、そうではありません。
使用済み燃料プールはもちろん1号機2号機3号機4号機全部にあるのです。
何故?でもそのうちで4号機だけが特異な問題になっているか?というと、
4号機は3月15日に爆発を起こしたのですが、
その爆発が起きた場所が、使用済み燃料プールが埋め込まれている場所の上部の空間。

私たちがオペレーションフロアーと呼んでいるその上部の空間が、まず吹き飛んでいるし、
それだけではなくて、
使用済み燃料プールが埋め込まれている、その階の壁すらが吹き飛んでもう無いのです。

つまり使用済み燃料プールを支えていた構造体自身が破壊されてしまっていて、
使用済み燃料プールが宙づりのような形になってしまっている。

岩上:非常に危険な状態にあるんですね、

小出:4号機だけはですね。

岩上:
今度地震があって、もし建物が揺れるような事があると、
そこから落ちてしまうかもしれないというような危険性が

小出:
そういう事をみんな心配してきたのですね、
それはもちろん私も心配してきましたし、

~ピンポンパンポーン
ただ今より5分後に研究炉を停止します。繰り返しお伝えします、ただ今より5分後に研究炉を停止します。
~ピンポンパンポーン

岩上:研究炉の停止でこういうアナウンスがあるんですね。

小出:
今原子炉を使っているので、何があるか、
運転を始めるとか運転を停止するとか、
あるいはトラブルがあればこうやって全署に知らせるというシステムになっています。


岩上:やっぱり。・・危険なところなんですね。

小出:
もちろんです。
で、話しに戻りますけれども、その4号機の使用済み燃料プールが危険な状態にあるという事は、
私も気がついたし、政府にしても東京電力にしても気がついたのですね。
もう、事故直後から。
何とかそのプールが崩壊するような事を防がなければいけないということで、
東京電力も事故直後にすぐに行動を起こして、
破壊された使用済み燃料プールの埋め込まれていた階、
そしてさらにその下の階も、もう壁が抜けたりしているのですけれども、
そこに行ってみたら、使用済み燃料プールの床面ですね、
床面が、ま、天井みたいになっているわけですけれども、それが見えると。
で、壁はもう飛んじゃってしまっている。
ですから、そこを何とか落ちないようにと言って、
床を支えるための柱を下の階から立てたんです。
それで、耐震補強工事というのを「やった」ということになっているのですけれども、

でも柱っていうのはもちろん、上の使用済み燃料プールの底面ですね。
底面をもちろん支えるために入れるのですけれども、
下だってそれを支えるための構造物がなければいけないけれども、
その構造物すらが、もう要するに爆発で損傷しているわけですね。
ですから、全部にその柱を立てる事が出来ないで、
ごくごく一部分だけその柱を立てて、コンクリートを流して、「補強をした」と言っているのです。

もちろん、やらないよりは私はやった方がいいという事は認めますけれども、
放射能で汚染をしていて、被ばく環境の中で、
ゆっくりと工事ができるなんていう状況ではもちろんなかったわけだし、
それも完全に全部の面に柱を立てる事も出来なかったわけで、
どこまでいけるのかな?と、私は大変不安なのです。
東京電力自身は「イヤ大丈夫だ、震度6ぐらいまでは行ける」という事を言っていますけれども、
猛烈に不安なんですね、それが。
もし、そのプールが崩れ落ちてしまうような事になると、
4号機の使用済み燃料プールの中には、1号機から3号機に比べても、
遥かに大量の使用済み燃料が入っていたのです。
なぜなら、事故当時4号機だけは定期検査中で、
本来炉心の中にあるべき燃料も全部がプールの中にあったわけで、
4号機の炉心の中にあった燃料の約2.5倍分が使用済み燃料プールの中にあって、
それが宙づりになっているというんですね。
で、その中に入っている放射能の量は、
私はセシウム137という放射性物質を尺度にして測っています。
それが一番危険だからだと私は思うからなんですが、
そのセシウム137を尺度にすると、
広島原爆がばら撒いたセシウム137の多分5000発分はあると思います。
それは、

岩上:5000発

小出:
はい。
宙づりになったプールの底に、今かろうじて沈んでいるというそういう状態なのです。

ですから、何とか、一刻も早くそれを移動させなければいけない。という課題があって、

東京電力もそれを、先ずは第一に急いで作業をしているということですし、
大変重要な問題だと思います。



動画はこちら↓
<選挙>「『強い指導者は求めてはいけない』とむしろ思っているのです」
小出裕章氏インタビュー11/29岩上安身氏(内容書き出し)



チェルノブイリ 事故の原子炉覆う工事
NHK 11月28日 6時12分



26年前に史上最悪の原子力発電所の事故を起こした、
旧ソビエト・ウクライナのチェルノブイリ原発では、放射性物質の拡散を防ぐため、
事故を起こした原子炉を覆うアーチ型の建造物が建設されており、初めて工事の様子が報道陣に公開されました。

1986年に爆発を起こした、チェルノブイリ原発の4号機の原子炉は、
事故直後からコンクリートと金属で造られた「石棺」と呼ばれる建造物で覆われてきました。
しかし、石棺が老朽化し、放射性物質が拡散するおそれが出てきたことから、
ウクライナ政府はことし4月に、石棺の上から原子炉ををすっぽりと覆う新たな建造物の建設に着手し、
27日、初めて工事の様子が報道陣に公開されました。

建造物は幅250メートル余り、高さ105メートルの巨大なアーチ型をしており、
100年にわたって放射性物質を密閉するよう設計されているということです。

原発の周辺では事故から26年がたっても高い放射能汚染が続いており、
工事にあたっては、作業員の被ばく量を少なくするため、効率的に作業を進めることが課題となっています。
建造物が完成するのは3年後の予定で、
建設費用は日本や欧米などの支援も得て、1000億円以上に上るとみられており、
原発事故への対応が長期にわたり多大な費用を要することが改めて浮き彫りにされています。
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tomo

Author:tomo
ジャーナリスト、池田知隆のブログです。最近の記事、イベント情報などを掲載しています。

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